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自由を尊ぶ精神風土こそ日本の大学の誇り

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去年、震災後間もないため生徒の安全を第一に考えて卒業式を中止した立教新座中学高校の校長先生が卒業生に当てたメッセージに感動された方は少なくないと思う。私はまだ学期中でアメリカにいたが日本のラジオ番組で知った。今でもはっきりと心に残っている。大学での4年間はの一生の中で自分で時間を管理できる唯一の時であるという事を「『海を見る自由』を得るためなのではないか」という一節で始めた渡辺憲司校長の言葉は、アメリカ大学教育を礼賛し続けてきた私にとって「目から鱗が落ちる」思いであった。

高校時代も大学を出て就職したとしても、また結婚しても自分の時間は他者によって管理される。大学時代は自分の時間を自由に使える唯一無二のラグジュアリーな時期である。渡辺校長は、この時期にこそこの贅沢を思いっきり「ダイナミックに自分のものにせよ」と時間の大切さを強調し「流れに任せて時間の空費にうつつを抜かすな」と忠告する。

このような渡辺校長の青春に対する認識は「長期的な学び」への彼独自の視点に基づいている。彼は「学ぶ」という事は何も大学に行っている間だけの事ではないと言う。そして「学ぶことは一生のことである。いかなる状況にあっても、学ぶことに終わりはない。一生涯辞書を引き続けろ。新たなる知識を常に学べ。知ることに終わりはなく、知識に不動なるものはない」と述べている。

振り返って考えてみると、自由を尊ぶ精神風土が根づいているというのが日本の大学の誇るべき資質であったのかもしれない。そして、この自由の気風の中でこそ学生たちの発想力や創造力が生まれ、ひいては世界最先端の成果を生み出す優れた人材の輩出につながってきたのではないか。アメリカの大学の合理主義がすべてではない。渡辺校長の言葉を思い出しながらそんな事を思った。
by osakanoobachan | 2012-06-12 11:43 | 僭越ながら教育について

生活の本拠地をアメリカに大阪と行き来しながら早20余年。とはいえ日米国の隔てなく世事への好奇心は増すばかりの毎日。健康、美容、食べる事から外交、教育などなど、気の向くままに綴っています。


by osakanoobachan
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