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日本の目線で他国の原子力政策にモノを言ってもいいか

[原発] ブログ村キーワード
朝日新聞6月18日付けの声欄に、中国やアジアの新興国に対して原発なしの経済運営の必要性を強調するべきだという主旨の投書があった。中国での原発に事故が起きれば九州に大きな影響及ぶからというのがその理由であるが、他国の原子力政策に干渉するこの主張には疑問を感じる。

原子力というのは一つ間違うと恐るべき災害を引き起こすことは、今回の福島、1986年のチェルノブイリでの事故が物語っている。ウクライナの近郊の町出身の私の友人が、今も彼女の町で亡くなる人の一番大きな原因は癌なのだと話してくれた事があった。彼女のおばあさんもやはり最近癌でなくなったそうだ。欧州の放射線リスク委員会という市民団体は、福島原発の事故の影響によるがん患者は今後50年41万人余り出ると予測している。目に見えない内部被爆の怖さは永久に続いていく。

しかしながら、中国では世界で最も深刻だと言われている大気汚染と環境問題を抱えている。この大きな原因は主要なエネルギー源として使われている石炭の燃焼によるものである。中国が今石炭からクリーンな原子力発電へとエネルギーの転換を図ろうとしている政策は仕方のないところもあるのだ。(現時点ではこの中国の大気汚染によって現在西日本の一部地域が被っている被害の方が甚大かもしれない。) また、エネルギー源の原発依存率が77%と世界一高いフランスはこれまで大きな事故はほとんど起きていない。それだけ安全対策がゆきとどいているということであろう。フランスから来ている学生の話に依ると、国民に対する安全性の説明や情報提供もきっちり出来ており、原発の存続はフランス国民の民意によるものらしい。

要するに、大切な事は、原発の万が一の事故に備えて正確で信頼できる科学的な根拠に基づいた安全対策を行うことであって万が一を恐れて原子力エネルギーが我々にもたらしてくれる恩恵をすべてあきらめてしまう事ではないと思う。それぞれの国が原発の安全を確保できるのであれば自国の事情に従って原発を導入する事に異論はない。
by osakanoobachan | 2012-06-21 09:37 | 一年に3ヶ月の大阪生活で

生活の本拠地をアメリカに大阪と行き来しながら早20余年。とはいえ日米国の隔てなく世事への好奇心は増すばかりの毎日。健康、美容、食べる事から外交、教育などなど、気の向くままに綴っています。


by osakanoobachan
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